これまで、いくつかのソーラー事業に関する
不動産登記、動産譲渡登記、債権譲渡登記、商事信託登記を経験しました。
今日は、その中でもとても印象に残っているお話をしたいと思います。
この案件は、事業者様曰く、法務局へ相談を持ちかけたところ、
「登記できないですね。」と言われてしまったそうな…
そんな話を聞いたけれども、方法をお調べすることに…
まずは、プロジェクト融資に関するローン契約書や信託契約書を読み込み、
スキームを整理してみました。
契約書の記載をそのまま読み解くと…
1件目、賃借権移転及び信託(賃借権を信託財産にするための登記)
2件目、賃借権移転仮登記(賃借権を担保に入れるための登記)
法務局が何故登記できないと言ったかというと…
信託財産とする旨の登記をした直後に、仮登記ではあるが、信託財産を移転する登記をすると、
受託者(信託財産を運用する者)が誰なのかの公示が不明瞭になってしまうので、
できないということらしい。
方法として、考えられること
(その1)
契約書では、1号仮登記(事は起こっているが、書類が足りない時にする仮登記)を想定
これを2号仮登記(事は起こっておらず、事がおこれば、権利は移転する等の債権を保全する時にする仮登記)に、するとどうだろうか。
(その2)
担保に入れたい日と信託財産となる日は同日なので、
1件目と2件目の申請する順番を逆にするとどうだろうか。
法務局に相談した結果、
1件目 条件付賃借権仮登記(条件:債務不履行)
2件目 賃借権移転及び信託
で、登記できると確認がとれました。
金融機関様、信託会社様、事業者様、それぞれに連絡をとりつつ、
変更契約書を交わした後、200筆を超える土地の登記も無事に完了いたしました。
司法書士というお仕事をしていて思うのは、時として、トンチが必要なのかもしれません。
ほかで登記できないと言われてしまった企業様がいらっしゃいましたら、
お気軽にお問い合わせくださいませ。

木村成愛 代表司法書士
Narie Kimura
2018年、司法書士試験合格。
大手司法書士法人に6年程務めた後、独立。
お客様に寄り添って、難しい問題の解決策を見つけることを得意とする。
[ 保有資格 ]
・司法書士
・宅建士(未登録)
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