株式会社の代表の住所非表示措置

先日、知人からのご紹介で、会社設立のご依頼をいただき、
その際に、登記簿謄本に代表者の住所が載らないよう、手続きしてほしいとのご要望を承りました。
(まずは、改正法をご存知ということに、驚きました!)

この措置を適用するには、登記申請の際に、住所非表示の申出の旨を申請書に記載するとともに、
以下の3種の書類を提供しなくてはなりません。(上場されていない会社想定)
①本店所在地の実在性が確認できる書面
・本店所在地に宛てて送った配達証明郵便の配達証明書
・司法書士が本店所在地を確認したことを証する書面★
②代表者の住所の証明書(市町村長等が発行した書類に限定)
・住民票の写し★
・印鑑証明書
・戸籍の附票の写し
③会社の実質的支配者*の本人特定事項を証する書面
・司法書士が本人特定事項の確認をした記録の写し
・公証人が本人特定事項の供述を記載した書面
・公証人が認証した本人特定事項の申告受理及び認証証明書(設立の際、定款認証時に発行される証明書)★
*実質的支配者は、乱暴に言ってしまうと、大株主を指します。
★マークは、今回、設立の登記の際に提供した書類です。

なぜ、本店、代表者の住所、実施的支配者まで確認するのかと言うと…

そもそも、代表者の住所は、株主や債権者が会社を訴える際、会社に訴状が届かない場合に、
予備的送達として、代表者の住所に訴状を送ることがあります。
その予備的送達場所が登記簿謄本に載らないならば、
本店に郵便物が確実に届くんでしょうねぇということを確認する必要が出てくるわけです。

また、会社を言い換えると、法人と言ったりもしますが…
この人を本人確認したい場合に、何を確認すれば、本人と言えるのか
という問いについて考えを進めると、
代表者と実質的支配者の本人確認をしなくては!という答えに行き着くわけです。

話はそれますが、この措置は不動産売買を頻繁にされる企業様には、おすすめしておりません。
なぜならば、
不動産売買の際に、不動産登記を担当する司法書士の本人確認に差し障る可能性があるためです。
特に権利証をなくしてしまった企業様が不動産を売りたい場合には、
権利証に代わる書類を司法書士が作成するのですが、
その書類には、原則代表者の本人確認をしたことを記す必要があり、
その本人確認では、会社の登記簿謄本記載の代表者の住所氏名と代表者個人の身分証記載の住所氏名が
一致していることを確認しなくてはなりません。
場合によっては、不動産売買をリスケすることもございます。
このような事情から、
不動産売買を頻繁にされる企業様におかれましては、ご理解ご協力のほど、お願い申し上げます。

話を元に戻しまして…
設立の登記は無事に終わり、登記簿謄本を取得してみたところ、
代表者の住所がしっかり○○県○○市という記載になってました!
お客様のご希望に添えて、良かったです。代表者の個人情報(一部ですが、)守れました!

木村成愛 代表司法書士

Narie Kimura

2018年、司法書士試験合格。
大手司法書士法人に6年程務めた後、独立。
お客様に寄り添って、難しい問題の解決策を見つけることを得意とする。

[ 保有資格 ]
・司法書士
・宅建士(未登録)


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